デザイナー4.0時代のデザイナーの行方

デザイナー
※本記事の未来予測の部分は各種資料を参考とした個人的な見解が含まれております。前提をご理解の上、ご覧いただけますと幸いです。

アナログ時代の経験があるデザイナーをはじめデジタルネイティブ以降のデザイナーにとってもスピードが速く舵取りの難しい時代となってきました。

AIの進化に伴うビジネスモデルの変化、ソフトウェアの拡張、これまでのやり方を根底からひっくり返すような変化が訪れようとしています。

変化の中をどう進んで行けばよいのかわからない、流れに乗っていけるか不安がある、
何をすべきか悩んでいるデザイナーの方と今後を一緒に考えていきます。

デザイナークロニクル これまでの道のり

デザイナー1.0

起源から1985年までのアナログデザインの時代。

デザイナーは職人に近く、カンプから入稿までほぼ手作業。イラスト、写真、デザイン、製版から印刷までアナログの作業で成り立っていました。

デザイナー2.0

1986年から1994年までのデジタル移行時代。

コンピュータの導入によりデザイン業界の環境は大きく変わり、デジタル化の流れはデザイナーの意識も変えました。

デザイナー3.0

1995年から2019年までのインターネット時代。

インターネットとITの開花によりWebデザインをはじめ様々なデザインの仕事が誕生しました。

デザイナー4.0時代 変化と展開の速い世界へ

2020年以降のAI、ブロックチェーン時代のをデザイナー4.0としました。

コロナ禍にはじまるリモートワークやビデオ会議、副業やフリーランスの増加など、デザイナーの働き方も多様化しています。

AIとweb3が環境を変えていく

AIはルーティーンワークだけではなく創造的な仕事の分野にまで能力が向上しつつあり、加速度的に進歩しています。

ブロックチェーンを基盤とするweb3も環境が整いつつあり、仮想通貨は金融のしくみを、NFTは所有権や価値を、DAO(分散型自立組織)は会社やコミュニティなど組織の形を変えようとしています。

デザイナー4.0の未来

技術革新のスピードが速く、未来についての予測が難しくなってきました。
いろいろな資料をもとに今後訪れるであろう展開をまとめてみました。

それぞれの展開がいつ現実になるかは誰にも予想がつかないところですが、この中でも影響が強い転換点はこちらになると思われます。

  • 2025年 一般化知能
    AIが様々なタスクをそこそこ実用的にこなすようになる。単純作業+α、ルーティーンワーク、調査(競合、市場調査)、ワイヤーフレーム、簡単なレイアウト、最適化関連などがAI業務に置き換わるかもしれません。
  • 2025年 AI+メタバース
    ビジネスコミュニケーションの変化。アバターでの対応等。
  • 2025-35年 AIコーディング
    AIによるプログラミングが実行可能に。HTML、CSS、JSなどはもっと早い時期にAIに移行される可能性も。
  • 2025年 自然言語UI
    インターフェースがAIとの対話型に。デザイナーの作業環境からUI、UXまであらゆる分野で導入が進んでいくかもしれません。
  • 2035年 汎用人工知能
    人間レベルの汎用性と実用性のあるAIの登場。仕事や作業の概念が変わり、立案、対人コミュニケーション、トラブル処理などの業務がメインとなるかもしれません。
  • 2045年 超知能
    各分野でもっとも優れている人間の頭脳よりもはるかに賢い知性をもったAIの登場。いわゆるシンギュラリティ以降の世界では、仕事のみならず、行動、生活、人生観にも大きな変革がおとずれると思われます。

新しいことを学ぶ、挑戦する、この10年が勝負どころ

上記の事柄が実際どのくらいの速さで展開していくかはわかりませんが、汎用人工知能が実用化されるまでの10年くらいが勝負どころかもしれません。

勝負というとがんばって勝ちに行くようなイメージですが、どちらかと言えば、新しいことを学び、挑戦しつつも捨てるものは捨て、諦めることは諦め、勝てるところを探していく感じかと思います。

1986年からのデジタル移行期も完全にデジタル化となるまでは8~10年くらいかかりました。今回も、これまでの技術で戦える期間はそのくらいか、もう少し短いかもしれません。

その間に実行できることを多方面から考え試していくことが必要になりそうです。

一匹狼から遊牧民へ 臨機応変に対応できるチームをつくる、参加する

デザイナーは一匹狼タイプが多いと言われています。実際いろいろなデザイナーと接しても、つるむことは好まず、自分の実力で利益をあげていく気質の方が多い気がします。

これまで一人でやれていたのは、クライアントのビジネスにおいて、立ち上げから成長、ルーティーンまで、デザイナーとしてかかわれる仕事や作業が多かったからです。

しかしながらこの先はいろいろな作業がAIに移行し、一人だけで戦っていくのが難しい状況になることが考えられます。
また、自分だけでなくいろいろな業種で多くの人が苦しい状況になっている可能性もあります。

個人の限界を超えるためのチーム編成

今後デザイナー一個人で提供できるサービスが縮小したり価値が下がっていくことも考えられます。

業務の内容によってアメーバーのようにチームを編成していく、チームに参加をしていくことで、何倍のもアウトプットをクライアント提供することは可能です。
しかしこれまでの制作主体のクリエイティブチームという考えかたでは総倒れになりかねません。

例えば、ビシネスプランナーなど顧客接点が強いメンバー+AI+デザイナーなど今までになかったような構成も考えられます。

将来的にはDAO(ダオ)を活用し、貢献度にあわせて分配ができるようになりそうです。

こちらについてはまた別の機会に考察していこうと思います。

時代とともに生きる 淘汰されないためには

レガシーが続いている間がチャンス

AIなど新しい技術による影響がありつつも、しばらくはレガシーのビジネスや業務が残っていくと思います。

これまで続けてきた仕事が残っている状態はいわゆるサービス期間であり、準備をして切り替えの体制を作っていくチャンスの時期とも言えます。

知る・試す・考える

まずはいままでの技術・能力+AI+新しい技術・能力の組み合わせで、試行錯誤をしていくことになりそうです。
流れが速いので、有益な情報を早く知る、技術が成熟する前から触れておく、可能性を考えることを繰り返すことが大事です。

自分の脅威となりそうな耳障りな情報や世界情勢、経済の話題も避けてしまいがちですが、一見関係無さそうな分野の情報がヒントになることがあります。

現状のクライアントとともに進む

長く取り引きが続いているクライアントとは良い関係ができていると思います。

今後はどんな業種のクライアントであっても変化の波には逆らえず、浮き沈みがありそうです。
困っているクライアントを助けることも生き残り策のひとつとなります。

クライアントにとって有用な情報を共有することだけでなく、こちらの利益に関係無く有益な提案をしていくことも良いかと思います。

まずは今日から

苦難を乗り越えてきた自分を信じよう

デザイナー1.0から3.0の環境の変化だけでなく、バブル崩壊、リーマンショック、コロナなどいくつもの苦難を乗り越えきました。

これまでにない大きな波であっても、あきらめてしまわなければ結果はついてくると思います。
なによりも自分とそして新旧の仲間を信じること、それに尽きます。

もしかしたら無理ゲー? 挑戦を楽しみましょう!

AIの進化に思考が追い付かない状況になってくると、これは無理ゲーではないかと思うようになっても無理はありません。

しかし、こんな時代を経験できるのもひとつの運命と言えます。
苦しいと喘ぐより、ゲームとして挑戦を楽しむ方が良い結果を生み続けられるかもしれません。

仕事の裏には人がいる

デザイン業は偉い先生のようなデザイナーであっても、優秀な事務所であっても、基本的にはお手伝い稼業です。
デザインだけで成り立つものはほとんど無く、いろいろな人の手を渡る間の一部を担う仕事と言えます。

請け負っている仕事や委託業務がAIによって置き換わっていっても、その裏には人がいて何かしらのニーズがあることは、しばらくは変わらないことでしょう。

デザイナー4.0ブログではデザイナー4.0時代を生き抜くための手掛かりとなる情報を発信していきます。デザイナーとしてどう生きていくかを一緒に考えていきましょう。