今回はWebデザイナーの今後について考えていきます。
初回に提言しましたデザイナー1.0~4.0の中で、1995年から2019年までのインターネット時代を3.0と提言しました。
インターネットの接続環境ができ、企業がホームページを開設し始め、Webデザインの分野が登場しました。
最初はデザイナーがグラフィックやDTPなどと掛け持ちで作業していましたが、業務の拡大につれてWebデザイナー、コーダー、フロントエンジニアなど分業化が進みました。
デジタルネイティブ世代はWebデザイナーが主流派かと思います。
1995年から2020年まではいろいろな技術の発展がありつつも、割と緩やかな進化でした。
しかし、2021年ころより進展をはじめたブロックチェーンやAIの発達によりWebデザインにも大きく影響が出てくると予想されます。
デザイナー4.0のWebデザイン
2020年以降のブロックチェーン、AI時代をデザイナー4.0と提言しました。
2020年のコロナ禍にはじまるリモートワークやビデオ会議などはWebデザイナーにも環境の変化を及ぼし、AIはルーティーンワークだけではなく創造的な仕事の分野にまで能力が広がってきました。
それぞれの展開がいつ現実になるかは誰にも予想がつかないところですが、この中でも影響が強い出来事はこちらになると思われます。
- 2025年 一般化知能(GI)
AIが様々なタスクをそこそこ実用的にこなすようになる。単純作業+α、ルーティーンワークなどがAI業務に置き換わるかもしれません。 - 2025-35年 AIコーディング
AIによるプログラミングが実行可能に。HTML、CSS、JSなどはもっと早い時期にAIに移行される可能性も。 - 2025年 自然言語UI
インターフェースがAIとの対話型に。 - 2035年 汎用人工知能(AGI)
人間レベルの汎用性と実用性のあるAIの登場。 - 2045年 超知能(ASI)
各分野でもっとも優れている人間の頭脳よりもはるかに賢い知性をもったAIの登場
変わりゆく制作の流れ
上記それぞれの技術の進化がWeb制作にもたらす影響をみていきます。
これまでのWeb制作フロー
ヒアリング | ゴール確認 | 予算確認 | スケジュール確認 |
---|---|---|---|
仕様確認 | 運用確認 | インフラ確認 |
要件定義 | 市場調査 | 競合調査 | KPI設定 |
---|---|---|---|
キーワード調査 | 見積書 | 企画書 |
設計 | 仕様書 | スケジュール案 | CMS仕様書 |
---|---|---|---|
システム仕様書 | インターフェース仕様書 | サイトマップ案 | |
カスタマージャーニーマップ | ユーザーシナリオ | ロードマップ | |
ページ構成 | ワイヤーフレーム | デザイン案 | |
発注書 | 契約書 | NDA |
デザイン・コンテンツ | ライティング | デザイン | テンプレート作成 |
---|---|---|---|
動画作成 | 進行管理 | システム開発 | |
HTMLコーディング | 運用マニュアル作成 | 素材作成 |
開発・テスト | テスト・デバッグ | 校正 |
---|
運用 | サイト公開 | メンテナンス | 更新 |
---|---|---|---|
修正 | コンテンツ追加 | システム追加 |
Web制作のフローで今後AIの影響を受けるもの
ヒアリング | ゴール確認 | 予算確認 | スケジュール確認 |
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仕様確認 | 運用確認 | インフラ確認 |
要件定義 | 市場調査 | 競合調査 | KPI設定 |
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キーワード調査 | 見積書 | 企画書 |
設計 | 仕様書 | スケジュール案 | CMS仕様書 |
---|---|---|---|
システム仕様書 | インターフェース仕様書 | サイトマップ案 | |
カスタマージャーニーマップ | ユーザーシナリオ | ロードマップ | |
ページ構成 | ワイヤーフレーム | デザイン案 | |
発注書 | 契約書 | NDA |
デザイン・コンテンツ | ライティング | デザイン | テンプレート作成 |
---|---|---|---|
動画作成 | 進行管理 | システム開発 | |
HTMLコーディング | 運用マニュアル作成 | 素材作成 |
開発・テスト | テスト・デバッグ | 校正 |
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運用 | サイト公開 | メンテナンス | 更新 |
---|---|---|---|
修正 | コンテンツ追加 | システム追加 |
- ■「一般化知能の発達」により影響を受ける部分
- ■ 「AIコーディング」の発達により影響を受ける部分
- ■「自然言語UI」の発達により影響を受ける部分
- ■「汎用人工知能」の発達により影響を受ける部分
- ■斬新な企画、アイデア、オリジナリティなどで残りそうな部分
自動化による影響、制作側ではなくクライアント側で完結するもの、集約して無くなってしまうものなどが出てきそうです。
UI、UXはAIによりユーザーに合わせて自動的にカスタマイズされるようになることも考えられます。
根底から変わる検索サービス
次にWebサイト制作に影響の強い検索サービスについてみていきます。
今やChat GPT、Bard(バード)などAIによる自然言語処理の普及が、検索方法や結果表示のみならず検索の考え方自体も変えようとしています。
現在の検索サービス
現在の検索はキーワードの入力に対してインターネットから関連性の高いサイトをテキストの見出し一覧として表示し、クリックすることによりサイトへジャンプするものです。
検索サービスが開始されてから30年近くはこの形が続いています。
検索の未来
これまでは検索サービスが各Webサイトへの誘導の大部分を担っておりました。
今後予想される検索方法、結果表示をまとめてみました。
1.AIによる返答+内部リンク+関連リンク
自然言語検索に応じた返答と関連するリンク(広告と最適なリンク)を表示する。
AIと現状の検索サービスのミックス型。
2.AIによるAPI連携
セマンティック検索技術(何を求めて検索 を行ったかという意味をAIが 正しく解釈 し、それに応じた検索結果を返す)によってパーソナライズされた検索結果を提供する。
合わせてAPI連携により検索に応じた適切なサイトから情報を取得し、アレンジして表示。
AI検索の画面からは遷移せず、そのまま購入や予約完了まで表示する。
画像やコンテンツなど権利の問題がありそうですので、はじめはアレンジされたテキスト主体になるかもしれません。
3.ボイス・セマンティック検索
音声認識技術とセマンティック検索の技術の組み合わせでユーザーが自然言語で音声を入力し、AI検索がその意味を理解して、適切な返答を音声で返すものです。
siriやアレクサ、Google Homeなどの延長線上にありますが、実現は汎用人工知能の登場以降と思われます。
「2001年宇宙の旅」のHAL 9000を思い出す方も多いと思います。
ホームページの概念、役割が変わる
検索からのページ流入数の減少
ユーザーとしては検索してすぐに適切な答えが返ってくるのが理想というところです。
最近は工夫もされてきましたが、現状の方法である検索→リンク一覧→サイト表示→さらに必要な部分を探すような流れはステップ数も多く、時間もかかります。
検索画面から画面遷移せず、そのまま回答を得たり、目的を達成できる方法が実現してきた場合は、検索からホームページへの流入が大きく減少する恐れがありそうです。
ホームページへの流入を検索に依存している場合は、影響が大きくなりそうです。
検索エンジン最適化からAI最適化へ?
外部リンクが残る場合は検索からサイトへの流入があるかはAIの解釈次第となるかもしれません。
これまではパンダアップデートなど人為的なアルゴリズムの変更に伴うホームページの最適化を手作業で行ってきたわけですが、AIへの最適化(可能かどうかもわかりません)が必要な場合はAIと人間の立場が逆になってしまうようで妙な感じがします。
ホームページの変化
ホームページは情報提供やマーケティング、ブランディング、コミュニケーションチャネルなどの役割を担ってきました。今や企業や組織の存在の証明のひとつともなっています。
今後AIの影響でホームページからの情報の提供やコミュニケーションの方法などが変わっていくことが考えられます。
ホームページ自体の概念や役割も変わり、部分的に不要になったり、他のサービスに置き換わったりするかもしれません。
動向から目を離さないこと
自然言語によるAI検索サービスが現実的となってきました。
今後はGoogleやYahoo!、Bing以外のAI検索サービスが出てくることも考えられます。
広告モデルの検索サービスも変化を余儀なくされる場合は、広告形態(リスティング、ディスプレイ、リマーケティング)も変わってくることでしょう。
集約型からオープンな方向にかわっていくのか、新しい技術やトレンド、ニーズの変化など注目していく必要がありそうです。
どこにシフトしていくか
現時点から未来までのWebデザインの流れをみてきました。
AIによってWebの世界が拡張されていくなか、Webデザイナーの仕事は縮小されていく感じがあります。
部分的には新たな制作のニーズが出てくる可能性もあります。
しかし受け身の考え方から抜けて、変化の中で自分が何ができるかを考えていくのがひとつの手掛かりとなりそうです。
デザイナー4.0ブログではデザイナー4.0時代を生き抜くための手掛かりとなる情報を発信していきます。デザイナーとしてどう生きていくかを一緒に考えていきましょう。