デザイナー4.0ブログの初回は「デザイナー4.0」についての提言です。
今後どう進んで行けばよいのかわからない、流れに乗っていけるか不安がある、
何を習得するべきか悩んでいるデザイナーの方とデザイナー4.0時代を一緒に考えていきます。
まずはデザイナー業の転換点(バージョンアップのポイント)をもとにデザイナー1.0から4.0の流れをみていきます。
デザイナーは手先が器用であるべし デザイナー1.0
起源から1985年までのアナログデザインの時代をデザイナー1.0としました。
デザイナーは職人に近く、カンプから入稿までほぼ手作業。イラスト、写真、デザイン、製版から印刷までアナログの作業で成り立っていました。
デザイン事務所は徒弟制度が残っており、アシスタントはディレクターに怒られながら業務をこなしていました。
忙しいながらも現在よりはまだ時間に余裕があった感があります。
デザイナー1.0はもはや伝説となりつつあります。
デザイナー1.0世代の特長
- ~1965年(~57歳)生まれくらいまでがコア世代か
- カッターとロットリング(烏口)の使い方が上手
- コンセプトを大事にする
- 居眠りをして版下や原稿を電車に忘れそうになったことがある
- 紙焼きでサイズをピッタリ合わせられる
- ぺんてるペンでの手書きラフも得意
このキーワードが懐かしい方はデザイナー1.0世代かも
写植・歯・PAVO | 紙焼き機 | アナログコピー機 | 縮1・縮2 |
ドア張り | 文字指定 | トレペ張り | ソルベックス |
文字切り貼り | ツメツメ | ベタ打ち | 現像液 |
貸しポジ | ダーマト | 青焼き | いずみや |
Fax原稿 | アタリとり | 烏口コンパス | 砂消しゴム |
カンプ屋さん | 青い見本帳 | 級数シート | クロマチック |
アグフア・ゲバルト | ハッセルブラッド | ポラ確認 | ベタ焼き |
バイク便 | ミツワ | 写研 | 色校赤入れ |
黒船デジタルの来航 デザイナー2.0
1986年から1994年までのデジタル移行時代をデザイナー2.0としました。
カッターとピンセットを手に戦うデザイナーの人々の前に現れたモノリスは真っ黒ではなく、オフホワイト(ベージュ)に虹色のリンゴのマークがありました。
デザイナーのデジタルとの接点の起源はやはりアップルコンピュータのグラフィックPCで、カラー表示ができる初のMac、Macintosh IIあたりからデザイン事務所に導入されていきました。
しかしながら当初はアナログとデジタルのハイブリッド作業で、IllustratorやPhotoshopのデータをモノクロレーザープリンターや出力センターでプリントしたものを反射原稿や版下にして入稿していました。
Adobe PostScriptをベースとしてAldus PageMakerやQuarkXPress 3.3Jなどのソフトの登場によりDTPが発展、DTPデザイナーの分野が誕生。
一時デザイナーはアナログ派とデジタル派に分かれ論争となりましたが、アナログ派は時代とともに消えていったようです。
デザイナー2.0世代の特長
- 1966年から1975年(2022年現在47~56歳)生まれくらいまでがコア世代か
- DTPで3時間作業したデータが開かなくなったことがある
- フリーソフトの入ったCD-ROMをケースで保管していた
- フロッピー12枚でアプリをインストールしたことがある
- 2MBのシムを2万円で購入したことがある
- マルチメディアパソコンを所有
このキーワードで20代を思い出す方はデザイナー2.0世代かも
漢字Talk 1.0 | サッドマック | Mac power | Mac Life |
compac | zipメディア | 光磁気ディスク | DAT |
Hipower Lib | フォトCD | DOS/Vパソコン | KDD |
UNIXサーバー | QuickTime1.0 | WOWOW | ペンティアム |
パワーPC | 3DO「REAL」 | セガサターン | TFTディスプレイ |
パンドラの箱はケーブル付 デザイナー3.0
1995年から2019年までのインターネット時代をデザイナー3.0としました。
ムーアの法則を裏付けるようにCPUやパソコンは進化、パンドラの箱となるモデムによるダイヤルアップ接続はインターネットの扉を開きました。
ADSL、光ファイバー通信による常時接続が一般的となり、ネット経由の完全データ入稿が可能に。
Internet Explorer、Netscape Navigatorが登場し、HTMLによるホームページ制作を行うWebデザイナーが誕生。
また、マルチメディアパソコンが一般化し、Macromedia Flash、Directorを使いこなすマルチメディア系のデザイナー、LightWave 3D、3D Studio Maxなどを制作環境とする3Dデザイナーなどデザインの分野が広がっていき、ビジュアルデザイン業界はルネサンスのような時代を迎えました。
デザイナー3.0世代の特長
- 1976年から1990年(2022年現在32~46歳)生まれくらいまでがコア世代か
初期:
- テレホタイムまで待って接続したことがある
- リムネット、ベッコアメ・インターネット、IIJなどと契約したことがある
- ダイヤルアップ接続の超過で多大な請求がきた
- PHSを個人電話としていた
- はじめてのデジカメはカシオQV-10だった
- Apple Newtonを自慢げに見せた
- マウスのボールの掃除が得意だった
後期:
- 初代iPhoneを購入
- Yahoo!をヤッホーと読んだ
- PlayStation 2をネットで予約購入
このキーワードで20代を思い出す方はデザイナー3.0世代かも
Shockwave | フラッシャー | キュリオシティ | イー・アクセス |
初代iMac | 写メール | PostPet | ライブドア |
ワンセグ | ネスケ | セカンドライフ | ネットサーフィン |
MP3プレーヤー | プラズマディスプレイ | iモード | PHS |
2ちゃんねる | IXYデジタル | HoTMaiL | BIGLOBE |
Becky! | まぐまぐ | VAIO | 着メロ |
メモリースティック | H″(エッジ) | インターネット博覧会 | FOMA |
武器は諸刃の剣ばかり デザイナー4.0
2020年以降のブロックチェーン、AI時代をデザイナー4.0としました。
ブロックチェーン(自律分散システム)を基盤とするWeb3の登場とAIの発達が思いもよらぬ方向から影響を及ぼすような時代となってきました。
仮想通貨は金融のしくみを、NFTは所有権や価値を、DAO(分散型自立組織)は会社やコミュニティなど組織の形を変えようとしています。
AIはルーティーンワークだけではなく創造的な仕事の分野にまで能力が広がってきました。
合わせて2020年のコロナ禍にはじまるリモートワークやビデオ会議、副業やフリーランスの増加などデザイン業においても大きな環境の変化が訪れました。
今後登場する多様な技術やアプリケーションはデザイナーとして武器となりますが、これまで構築した技術やスキルを滅ぼしていく側面もありそうです。
デザイナー4.0のキーワード
ブロックチェーン | Web3 | DAO | クリプト(暗号通貨) |
AI | VR | AR | DX |
NFT | DeFi(分散型金融) | Discord(ディスコード) | Ethereum(イーサリアム) |
メタマスク | ステーブルコイン | ウォレット | メタバース |
Creator Economy | アルゴリズム | トークン | マルチバース |
まとめ デザイナー4.0時代を生き抜くには
デザイナー1.0~3.0までのデザイナーとしての変化を考えてみました。
- デザイナー1.0 アナログ技術の向上と感性の発達
- デザイナー2.0 デジタル脳への変化と新しい制作環境への適応
- デザイナー3.0 ネットワーク環境での仕事と新しいスキルの習得
デザイナー1.0~3.0の変化も大きなものでしたが、デザイナー4.0時代はデザイナーにとって今までに考えられないような変革を迫られることとなりそうです。
思えば写植や製版屋さん、バイク便や出力センターなどデザイナー1.0~3.0の間にも消えていった業種やサービス、製品などは沢山ありました。
デザイナー1.0~3.0のような「変化を受け入れて自分を磨く」だけではなく、個人としての仕事のあり方を模索する時代となりそうな感じがしています。
デザイナー4.0ブログではデザイナー4.0時代を生き抜くための手掛かりとなる情報を発信していきます。デザイナーとしてどう生きていくかを一緒に考えていきましょう。